学校での調理学習の機会は、家庭科であれ、総合的な学習であれ、家庭での調理が減少している現代社会において、子どもたちに大きな意味を持っています。教育活動のなかにしっかりと調理の位置付けを行うことは、生きる力の教育の基本といえます。本書は、総合的な学習で調理実習を行う場合の参考書として、また、家庭科の立場から総合的な学習へ提案するきっかけの一つとして活用してください。
第1章では、家庭科の調理と総合的な学習の調理の共通点と相違点を考える土台として、主に、総合的な学習について述べています。
総合的な学習における調理の実践は、確かめであったり交流の手立てであったり、成果を実感するものであったりと多様で、これまで家庭科だけで行われてきた調理学習に、別の学習機会が出現したことになる。
第2章では、具体的な実践から、総合的な学習での調理の取り組みを提案します。時間数や学校の状況はそれぞれ異なりますが、栽培や地域学習、国際交流や異文化理解、人権学習などの中で調理実習を行った例を紹介しています。これらの実践は、学校や地域のこれまでの蓄積を活用しているものが多く、総合的な学習によって学習の意義や方法が見直され、より確かな価値あるものとなっています。
第3章では、家庭科であれ総合的な学習であれ、調理の指導に必要な基礎知識を提示しています。最初に、設備や備品について述べ、次に、調理操作という考え方について解説し、家庭科との関連を考慮するため、家庭科の小学校から高等学校までの指導内容をまとめています。最後に、総合的な学習に活用できる課題解決的な展開の家庭科の実践例を紹介しています。これらの実践は、調理技術の定着を目的としており、総合的な学習との相違を見ることもできます。
第4章では、いくつかの国々の料理と食習慣について解説します。代表的な料理のほかに、食事の様子や、学校での調理実習の様子などできるだけ紹介しています。ブラジルのような広い国では、同じ国の中でも多様な面があります。いずれも、ほんの一端を紹介しているだけに過ぎませんが、調べ学習への提案として取り上げました。
調理を含む学習活動では、ある程度の調理技術が必要となります。第5章では、児童・生徒の調べ学習の資料として活用できるレシピを紹介しています。紹介した調理は、簡単なものからある程度の技術が必要なものまで、幅広く収集しました。また、できるだけ、調理の専門用語には説明をつけ、初心者にも使えるよう工夫しています。
はじめに 第1章 総合的な学習とは 1.家庭科と総合的な学習
2.選択的な履修の拡大
3.総合的な学習における調理の考え方
4.総合的な学習のねらいと可能性
5.総合的な学習における評価
第2章 調理の技法を活かした総合的な学習 1.小学校からの提案
2.中学校からの提案
3.高等学校からの提案
第3章 調理の指導と学習の展開 1.調理に必要な設備と備品
2.調理の基本と指導内容
3.体験的な調理の進め方
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第4章 世界の調理と出会う 1.韓国の調理
2.シンガポールの調理
3.その他の国々の調理
第5章 基本的な調理の技術を学ぶ この章の使い方 初級編
中級編
上級編
参考文献一覧 |
判型 | A5 |
ページ数 | 200 |
価格 | 本体2,200円(税抜) 定価2,420円(税込) |
ISBN | 9784304020292 |
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