食育推進WEB!:地域の旬の野菜で、おかず作りに挑戦!事例地域の旬の野菜で、おかず作りに挑戦!
島根県松江市立法吉小学校 小坂 芳子
1.はじめに
本校は,安来節,どじょうすくいで有名な安来市にあり,能義平野の中央部に位置した田園地帯で,児童の家庭はほとんどが3世代同居の兼業農家である。野菜は,ほぼどの家庭でも自給しており,児童は露地栽培の新鮮な野菜を食べている。学校の学習で作った野菜や米を調理して食べるという体験もあるが,野菜への意識は薄く,野菜の栄養,必要性などについて考えることはあまりないようである。
5年生の時の学級指導で朝食の調査をした結果,朝食でとれていないものが,緑黄色野菜,肉などのたんぱく質,その他の野菜・果物という順であった。このような実態から朝食にあと1品,旬の野菜を使ったおかずを加えようということで進めていくことにした。豊かな能義平野の恵みを生かすためにも,自分の家で今とれる野菜に目を向けさせたい。 題材名を『旬の野菜で,おかず作りに挑戦!』として,目標を次のようにした。
- 自分の朝食を見直し,野菜のとり方についての問題点を発見しようとする。(関心・意欲・態度)
- バランスのよい食事をすることのよさに気付く。(知識・理解)
- 身近な旬の野菜をゆでたり炒めたりして,おかず作りをすることができる。(創意工夫・技能)
(出典 島根県教委『食の学習ノート』教師用手引き)
2.授業の構成と展開
(1)題材の指導計画
(配当時間8時間+課外,学活)と生活,総合的な学習とのつながり

(2)学習展開の実際
●展開例1 第3時
[目標]
- 野菜を入れるタイミングやゆで具合を考えて,自分の選んだ野菜をゆでることができる。
- いろいろなゆで野菜や味つけを知る。

●展開例2 第5・6時
[目標]
- 自分の家でとれた野菜を使って,家族のためにおかずを作ることができる。
- 友だちの作ったものを試食することで,自分の生活に生かそうとする。

(3)評価のめやすと今後の課題
- 自分の家の畑で作っている野菜やその調理法を家の人に聞いて調べ,児童は自分の家でたくさんの野菜が作られていることに気付いた。そして,自分の家の野菜の自慢料理に気付き,作り方を家庭で詳しく聞いてくる児童もいた。
- 調理実習の時には,振り返りカードを使った自己評価や,お互いの料理にコメントを書くという活動を取り入れた。これによって,児童への支援がしやすくなったり,友だちにほめてもらったことで児童が自信を持てたりした。
- ゆでて食べてみた感想では,「意外とおいしい」とか,「このまま,何もつけなくても食べられる」「野菜があまいなんて思わなかった」というような答えが返ってきた。野菜だけでも調理法や組み合わせなどを工夫することで,健康にもよくおいしく食べられることを発見でき,児童は,工夫して調理しようという意欲を持って学習に取り組んだ。
- 調べ学習や情報交換,ペアやグループでの調理,栄養士さんから話を聞くなど,学習のねらいによって学習形態を工夫したり,繰り返し学習や試し実習などの実践的・体験的学習を取り入れたりしたことで,児童は意欲的に活動できた。また,野菜についての知識や調理の技能をしっかりと身に付けることができた。しかし,児童一人ひとりを見ると個人差があるので,個々への評価のあり方とそれに応じた支援については,今後の課題である。
3.終わりに
今回の学習で,児童は,自分達が住んでいる所は,とても豊かな食生活ができる地域だということに気付いた。これから,「今は,エンドウがとれる」,「トマトが赤くなった」などと家庭でも学校でもみんなで話題にしていくことができるといいと考える。 今回の調理実習をもとに,これから旬になる野菜にも目を向けさせるようにしてその食べ方を考えさせたい。そして,家族のために夏休み等を使って家庭実践ができるよう声がけをしていきたい。
※(この実践は前任校安来市立能義小学校でのものである。)
→地元の食材を意識したこんだてづくりと食品の分類
→朝食のおかず作りを通して食事の大切さを学ぶ
食育推進WEB!メニュー
「教育情報」に戻る