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家庭科再発見 気づきから学びがはじまる

家庭科再発見 気づきから学びがはじまる

特徴

高校家庭科が男女必修になって15年以上経た今、新しい時代における「いまどきの家庭科」の可能性と授業のあり方を探る研究書。読み物形式で紹介する小・中・高・大学での授業実践例は、その様子がライブのように伝わり、読者を家庭科の再発見へと導きます。

小中高の家庭科の授業づくりに役立つ実践書

本書では小・中・高校におけるスケールの大きい家庭科の授業づくりと実践の詳細が示されており、家庭科教育の意義を再発見するとともに、学習指導要領の趣旨を踏まえつつ、各学校・学級の状況に応じた家庭科の授業づくりのヒントを得ることができます。

本書の内容

本書は、小学校から高等学校まで男女必修の家庭科教育が実現してから、10年余りが経過した現在、これまで家庭科がどのような役割を果たし得たのか、また今後、どのような教科として教育課程のなかに位置づけられる必要があるのかを考えるための手がかりとして編まれたものです。

本書をまとめる上で特に留意したのは、家庭科の授業実践の力を世に問いたいということでした。さまざまな教育言説が横行し、学力低下が問題視され基礎・基本の充実が叫ばれる一方で、総合的な学習の是非が問われています。<教科>としての家庭科がこれまでどのような成果を上げることができたのか、授業実践を通して検討したいと考えました。そして、家庭科に対する根源的な問い、すなわち<家庭科の独自性>について、優れた教育実践から帰納的に導かれる家庭科のコアとなるものを敷衍して、一つの家庭科教育理論の提起を試みたものです。

p.8p.29

第1章から第3章では、高等学校、中学校、小学校の教師による家庭科の授業実践が紹介されています。旧来の<家事><裁縫><女性的>といった家庭科イメージを覆す、ダイナミックで子供たちの価値観や生き方に迫る授業の様子が、生き生きと述べられています。読者には、これらの章を読み、家庭科教育の可能性について考えていただきたいと思います。

p.74p.75

総合的で発展的な学習は、ともすれば「教科ではない」「逸脱している」という批判を受けかねません。本書に掲載された実践を一読し、「これらが家庭科なのか?」という印象を持たれた読者は、第4章の教科教育のカリキュラム開発に関する論考を読みすすめてください。ここでは、三つの実践例の特色と学習の成果を整理し、これらの学習が「家庭科でなければならなかった」必然性について、論究しています。

p.92p.112

第5章では、家庭科の歴史上、切り離して考えるわけにはいかないジェンダー問題に関して、どのように扱うべきかを検討し、授業プランを提起します。

第6章では、参加型学習としての家庭科の可能性について、大学におけるワークショップ形式の授業実践を通して提案します。

最後に終章では、これまでの章を総括し、今後の家庭科の方向性を示して本書のまとめとします。

「教師は授業で勝負する」といわれますが、授業はライブであり二度と同じ時は繰り返されません。それだけに、一つの授業が学習者にとってどのような重みを持って受け止められるものであったのかが問われます。これはまた、大学教育においても同様にいえることです。授業時間を消費するかのようにさらりと流れていくような学びではなく、学習者が問いの前で立ち止まり、自分自身を振り返り、自ら考え、五感を使って活動をはじめるような、アクティブで真摯な学びのプロセスをどのようにしたら教師は喚起することができるのでしょうか。魅力的な授業づくりの道へと、一緒に一歩踏み出してみましょう。

目次

序章 <新しい家庭科>のその後を振り返って

第1章 <家族>について学ぶ ―討論による自分づくり―
高校での実践

第1節 孤独な子育てを題材化する

  1. 「13万通のメール」を教材に
  2. 4月から授業と夏休みの宿題

第2節 「13万通のメール」の授業

  1. 忙しいのになぜメールを出すの
  2. 身の周りに顔の見える関係を
  3. メールは重要な手段
  4. 身体に媒介された距離感覚の喪失
  5. メールか、顔の見える関係か
  6. 会話には勇気が必要か
  7. 孤独な子育てと性別役割分業
  8. 子どもを生むこと、育てること
  9. 性別役割分業を考える
  10. 討論のなかで揺れ、自分の意見が割れる

第3節 応答しながら新しい自分に出会う

第2章 生命のはぐくみをともに学ぶ―自分を見つめるきっかけとなる教材との出会い―
中学校での実践

第1節 生命の重みを考える授業をつくる

第2節 こんのひとみパワー

  1. 詩の力
  2. 声の力
  3. 引き出す力

第3節 保護者へのインタビューから

第4節 生命をはぐくむためのかかわりと環境

第5節 時代を担う子どもを

  1. 生徒との対話から
  2. <人・もの・環境>とのかかわり
  3. プレゼンテーション ―自分の言葉と方法で

第6節 自分の変化と成長 ―視野を広げる

第7節 <生きていくための力>を

第3章 集まって住まう ―親密圏から公共圏へと広がる学びの世界―
小学校での実践

第1節 私にとっての住宅って?

  1. <住>の授業を立ち上げる
  2. 1枚の紙から ―11歳たちの<住イメージ>を探る
  3. お菓子の家づくり ―ファンタジーに遊ぶ子ども
  4. 住みたい部屋 ―コンビニ・デパート・遊園地・・・出現!
  5. さらに飾られる<私の家> ―止めどもなくふくらむ欲望

第2節 濃密な<私>の世界を抜け出す ―公共の広場へと開く

  1. 住みたい家を集めてみれば ―エネルギー・景観・自然・・・被害続出!
  2. 公共的主題としての<住まう> ―公共に揺らぐ<私>の苦悩・葛藤

第3節 私の夢と地域の夢を織りなす

  1. 街をシミュレートしてみれば ―<まちづくり>専門家から学ぶ
  2. 自分を相対化するとらえ直しを

第4節 こんな街にしたいな ―子どもたちの街づくり提案

第4章 家庭科カリキュラムと授業づくりの視点

第1節 家庭科への問い

  1. <教科>としての家庭科の困難
  2. <教科>をどうとらえるか

第2節 教科としての家庭科を再定義する

第3節 生活に根ざしたカリキュラムを考える視点

  1. 現代的な生活課題と向き合う必要性
  2. 誰がカリキュラムをつくるのか

第4節 家庭科カリキュラムの構想

  1. カリキュラム編成における共同性
  2. 日本家庭科教育学会北陸地区会によるカリキュラム開発

第5節 三つの実践例を読み解く

  1. 実践例に見る家庭科の独自性
  2. 家庭科の何が<役立つ>のか
  3. 異なる意見に触発される討論を呼び起こす
  4. 教材の力と教師の授業力
  5. 教室と社会との接点としてのゲスト・ティーチャーの役割

第6節 授業づくりのヒント

第5章 ジェンダーの視点による授業づくり

第1節 ジェンダーをめぐる教育のゆくえ

  1. 概念規定の混迷
  2. 先行研究からの示唆
  3. 「行き過ぎ」という批判をめぐって
  4. 批判の論点整理
  5. バッシング現象を検証する
  6. 教育行政の対応
  7. 男女共同参画社会をめざして

第2節 授業実践を再考する

  1. 家庭科教育の可能性
  2. これまでの実践に学ぶ

第3節 家庭科におけるジェンダー学習

  1. <消費文化>をテーマに
  2. まとめにかえて

第6章 ワークショップ型授業の提案
大学における実践から

第1節 授業のなかで試みるワークショップ

  1. ワークショップとは
  2. ファシリテーター
  3. <気づき>から<築き>へと広がる家庭科学習を
  4. 参加型学習のバリエーション

第2節 シナリオづくりとロール・プレイングを通して考えるジェンダーの授業

  1. ジェンダーの授業の概要
  2. 教材
  3. シナリオづくり
  4. ロール・プレイング
  5. 授業を振り返って

第3節 フォトランゲージによる家族の授業

  1. フォトランゲージとは
  2. フォトランゲージによる授業の概観
  3. 教材としての「サラエボの家族」
  4. 教材としての「日本の家族」
  5. 学生たちの学び
    (1)第1回目授業:「サラエボ家族」に関するフォトランゲージ
    (2)第2回目授業:「日本の家族」に関するフォトランゲージ

第4節 参加型学習で学習者は何を学んでいるのか

終章 <生きる・生活する>ことと向き合う家庭科教育をめざして

仕様

編著 堀内かおる
共著 望月一枝、西岡正江、濱崎タマエ
判型 A5
ページ数 152
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