栄養のバランスを考えたり,規則正しく食事をとったりすることの大切さがわかり,実践できる児童を育てていくことは重要な課題である。夜型の生活スタイルから,朝,家族そろって食卓を囲むことは,むずかしくなっている。
そこで,毎日の食事の中から,朝食やそのおかず作りにスポットライトをあて,自分で計画し準備することを通して,家庭の味が家族の絆を強めていくことにもつながることを実感させたい。朝食のおかず作りが,家族を思いやる心を育てたり,将来にわたる自分の食生活を豊かにしていこうとする児童の育成につながっていくようにしたい。
学習内容としては,
どをねらいとしている。
児童は,作って食べることには興味を持ち,調理実習に関しての意欲はあっても,そこに至るまでの調べ学習に関しては,個人差が大きい。そこで実際の授業では,家族にインタビューしたりパソコンのソフトでイメージ作りをしたりして,朝食作りのこつや材料の準備,作り方などを捉えさせたい。
1.毎日の食を見直す | 1時間 | |
(1)家族にインタビューしたことを発表し合う | 0.5時間 | |
(2)インタビューしたことをもとに学習計画を立てる | 0.5時間 | |
2.パソコンのソフトを使って料理作りのひみつをさぐる | 4時間 | |
(1)材料編(食品の基礎知識) | 1時間 | |
(2)レシピ・用具編(用具と手順,調理に必要な基礎知識) | 1時間 | |
(3)調理編(ゆでる,いためるなど) | 2時間 | |
3.わが家の朝食バージョンアップ | 4時間 | |
(1)おすすめレシピ作り | 1時間 | |
(2)調理実習 | 2時間 | |
(3)家庭実践報告会をしよう | 1時間 |
学習項目 | 学習活動 | 支援のポイント | 評価の観点 | ||
本時のめあて |
1.家族のインタビューやパソコンのソフトでイメージしたことをもとに朝ごはんのおかずにふさわしいレシピを作ることを確認する。 |
・ 前時までに学習したことを思い起こしながら,自分のイメージをふくらませ,楽しんで取 り組めるようにする。 |
○ 自分の課題を明確にすることができたか。 (関心・意欲・態度) |
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朝食のおかずおすすめレシピを作ろう。 | |||||
レシピ作り |
2.自分のいちばんおすすめの料理を決めてレシピを作っていく。 ◇調理の方法 <おすすめレシピのイメージの例> ・とびきり簡単メニュー ・栄養バランスメニュー ・おいしさ満点メニュー |
・ レシピ作りに必要なことを確認しながら自分の力でできる「おすすめメニュー」を考えるようアドバイスを していく。 ・レシピ作りは,グループまたは,個人で取り組むように配慮する。 ・レシピの形式は,必要なポイントをおさえた上で,自分らしく工夫するよう助言する(必要な資料は各自用意しておく)。 |
○ 課題を意識しながら進んで取り組めているか。 (関心・意欲・態度) ○ 友だちとも情報交換をしたか。 ○ 同じ食品でも調理法を変えたり,材料の組み合わせを工夫したりしている。 ( 知識・理解,創意工夫) |
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レシピの交換とレシピ集作り |
3.自分の考えたレシピや友だちと交換したレシピをまとめて,朝食のおかずおすすめレシピ集を作る。 |
・友だちとレシピ交換することで,限られた時間の中で,多くのメニューにふれたり,レシピ集を作ってこの後の意欲につながるようにする。 ・レシピから選ぶときに,実際に作ることにした理由は何か,はっきりさせておくようにする。 |
○友だちのメニューからそのよさをつかもうとしているか。 (創意工夫) ○ 楽しんでレシピを選ぶことができたか。 (関心・意欲・態度) |
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本時のまとめ |
4.次時の調理実習で自分の取り組んでみたいレシピを選び,本時の活動をふり返る。 |
学習項目 | 学習活動 | 支援のポイント | 評価の観点 |
本時の課題 レシピの紹介 |
1.今日作るレシピの紹介をしながら本時の課題を確認する。 |
・レシピを選んだ理由を中心に作り方のポイントや実習のめあてにもふれて,紹介できるようにする。 |
○自分が作る料理を決めて,紹介できた。 (関心・意欲・態度) ☆学習カード (レシピ) |
調理実習 |
2.自分(グループ)で作りたいレシピにそって,朝食のおかずを作る。 |
・時間内にできあがるように,調理用具などを事前に準備しておくようにする。 ・安全や衛生にも気を配って実習するよう,ことばかけをする。 ・本時の流れを確認し,実習は個人やグループでも試食や評価の時間は一斉に取れるようにする。 |
○手順よく調理して,あとかたづけまでできたか。 (生活の技能) ☆実習の観察 ○課題を意識しながら手際よく工夫をしている。 (関心・意欲・態度,創意工夫) |
自己評価 |
3.自分の作ったおかずをデジカメでとったり,試食したりして気がついたことをまとめる。 |
・試食をしながら実習をふり返り,レシピに写真をはったり,ことばをつけ加えたりして,よりよく練り上げるようにする。 |
○自分の取り組みをふり返り,レシピをよりよくしている。 (創意工夫) ☆学習カード (レシピ) |
家庭実践 |
4.休日の朝食作りを家族といっしょに取り組む。 ・家族と分担して作る。 ・おかずだけを1人で作る。 |
・ おすすめレシピを持ち帰り,これまでの学習を生かして自信をもって実践できるよう事前のことばかけをしておく。 |
○進んで実践することができた。 (関心・意欲・態度) |
家庭実践報告会 |
5.お互いの家庭実践のようすを交流する。 |
・実践や報告は,それぞれの家庭の事情やスケジュールに合わせて無理のない範囲で進めるよう配慮する。 ・報告の内容についての評価では,実践を通した家族とのふれあいを大切に扱う。 |
○自分や友だちのよさに気付いたり,感想やアドバイスができたりしている。 (創意工夫) ☆発言・観察 |
(1)自分の食生活に関心を持つ
(2)課題を追求するために主体的に学習に取り組む
(3)調理計画を立て,自分の力で作ることができる
調理の計画については,児童が家族のことも思い浮かべながら楽しく取り組めるよう料理のレシピ作りから取り組んだ。どんなレシピにするかについては,児童の発想にまかせ,材料や調理方法についても,児童から質問が出るたびに全体で考え,話し合いながら決めていった。できあがったレシピや実践報告では,児童らしい発想が生かされていたが,技能面での指導のむずかしさが課題である。
この題材で学習したおかず作りについては,その後の1食分の食事作りについても生かされていた。レシピを活用しながら献立作りに取り組んで,家庭実践したカードからは,成長した児童を見た保護者の喜ぶことばが目についた。
→地域の旬の野菜で、おかず作りに挑戦!
→家庭科における食育指導