中学校技術・家庭 家庭分野教科書(平成24~27年度用)新しい開隆堂の教科書の特色Q&A
Q1
現行版でも家族の扱いは非常に気を遣う内容である。そこをガイダンスの後すぐにもってくるのは指導上どのように対応したらいいか?
A1
学習指導要領の内容に沿って指導できるようにしています。
新学習指導要領の解説では、ガイダンス的内容の設定について、概略次のように示されています。
- 学習を小学校家庭科と体系的に行う視点から、内容A(1)「自分の成長と家族」に小学校家庭科の学習を踏まえた家庭分野のガイダンス的な内容を設定し、3学年間の学習の見通しをもたせるために、第1学年の最初に履修させる。さらに、内容の取り扱いで、A(1)アは、家庭分野の学習全体のガイダンスとしての扱いと、A(2)や(3)との関連を図り学習を進める扱いの2つがあること、ガイダンスとしては家庭分野の学習の導入として第1学年の最初に扱い、A(2)や(3)との関連を図り学習を進める扱いではA(2)又は(3)の学習時に導入としてもう一度扱うなど、適切な時期を設定して、それらに関連させて扱うものとする。
- Aの導入としては、自分の成長をふり返ることによって、中学生の時期にある自分と家族や家庭生活とのかかわりについて考え、自分の成長や生活は、家族やそれにかかわる人々に支えられてきたことに気付くようにすることがねらいである。
と明記されています。
以上のことから、教科書では、A(1)にあたる部分はガイダンスとA(2)や(3)の導入の両方で扱うことができるように、位置づけています。
例えば、A(1)の該当部分は「わたしの成長と家族(教科書18~21頁)」です。ここでは「①わたしの成長」、「②わたしを支えてくれた家族や周囲の人びと」を取り上げ、ガイダンスでもあり、Aの内容の導入にもなっています。Aの導入なので、教科書ではそのあとにA(2)の内容が続くのが自然です。履修のしかたは、教科書2~3頁のもくじ(家庭分野を見通す)に「家庭分野の学習の始めに学ぶところ」として、21頁までであることを明記し、その部分を緑の帯で囲っています。また、「学習する時期や順序は、地域や学校によって異なります。」ことも明記していますので、ガイダンスの次に家族の学習を続けることを限定しているものではありません。ガイダンスとしては、「自分の成長をふり返り、自分の成長や生活が、家族やそれにかかわる人々に支えられてきたことに気付く」ことがねらいなので、ここまで(21頁まで)が該当します。
家族そのものについての学習は「2わたしたちと家族・家庭と地域(教科書22頁~)」以降になります。
各学習の時期は学校または地域の状況に応じて指導計画を立てていただくことになっていますので、家族に関する学習を行う場合に、家族の導入として再度教科書16~21頁をご活用いただくことになります。
ガイダンスの扱いがA(1)も含むことをご留意いただいてご指導ください。
また、ガイダンス(教科書21頁までを含む)からすぐに家族の学習に続けていく場合は、「2わたしたちと家族・家庭と地域」(教科書22~27頁)の内容が3項目で構成され、「①家庭のはたらき」(教科書22・23頁)「②家庭生活を支える仕事」(教科書24・25頁)は小学校家庭科のAの内容をふり返ることからスタートしていますので、「①、②」を履修し、「③わたしたちの家庭生活と地域」(教科書26・27頁)は学習時期を別にすることが可能ですし、「③」までを続けることもできます。
家族の学習は、特に家族関係の内容が扱いにくいと言われています。これについては、教科書では「5これからのわたしと家族」(55~59頁)として、幼児に関する学習(「3幼児の生活と遊び」「4幼児とのふれ合い」を終えてから人にかかわる学習のまとめとして指導できるようになっています。
教科書は学習指導要領の内容ABCDの順に配列しています。学習の順序は限定するものではありませんが、ガイダンス的内容の設定のねらいと取扱いを考えると、Aの内容が最初に配列されていることは、学習指導要領の解説に合致しています。指導上の対応として、各学校や地域の状況に応じて上記の複数例の中から選択ができます。
Q2
震災などの扱いは?
A2
震災・防災に関しても様々な場面で取り上げています。
教科書では震災や防災に関して、学習指導要領の内容ABCDそれぞれの中で取り上げ、記述しています。具体的には次のように扱っています。
- 26頁「2わたしたちと家族・家庭と地域 ③わたしたちの家庭生活と地域」で、地域の人びとのつながりとして、生活を助け合う活動が行われること、また参考として、地域の防災活動に参加する中学生(災害時の対応訓練に参加する中学生)の写真と記述。(学習指導要領の内容Aのところ)
- 62頁「発展 家族が交流し、支えあう地域の活動」で、阪神淡路大震災で失った家族の命の重みを伝える活動(「はるかのひまわり」に参加する中・高校生)。
- 101頁「2食品の選択と保存 ⑦食品の安全と情報」で、「参考」として食品安全委員会を含めた食品の安全を守るしくみの記述。(学習指導要領の内容Bのところ)
- 167頁「2日常着の手入れ ④衣服の補修とアイロンかけ」で、手縫いやミシン縫いの練習としてマスクの製作実習例を掲載。(学習指導要領の内容Cのところ)
- 171頁「自分らしく着る・快適に着る 3環境に配慮した衣生活 衣服と省エネルギー」で、衣服による調整によって冷暖房に要するエネルギーを削減できることを示し、クールビズ・ウォームビズの取り組みを紹介。(学習指導要領の内容Cのところ)
- 182・183頁「2安全な住まい ②災害への備え」で、「災害への備え」の項目を設け、自然災害と安全対策、住まいの地震対策を、ていねいに具体例を伴って記述。(学習指導要領の内容Cのところ)
- 228・229頁「4環境に配慮した生活 ②エネルギー消費とCO2排出を減らす ③水を節約し、排水の汚れを減らす」で、「②」の項を設け、家庭で使用されるエネルギーの削減を意識させるとともに、「③」の項も設け、安全な水の確保のために水の大切さを示し、排水の浄化、水の節約を促す。(学習指導要領の内容Dのところ)
- 223頁「⑤持続可能な社会へ向けて」で、地球の資源を維持し、環境を破壊しない持続可能な社会へ向けて生活スタイルを見直す提案。(学習指導要領の内容Cのところ)
- 236頁「発展 広がる環境問題」で、対処や持続可能な社会の構築のためのクリーンエネルギーの導入を提示。(学習指導要領の内容Cのところ)
- 252頁「生活の課題と実践 C」で、リフォームで防災頭巾、ナップザック等の防災グッズの製作例と、ナップザックに入れておくと良い災害時に必要なものも掲載(学習指導要領の内容CとDに関連)し、253頁では、地震発生に備えた家屋と家具の安全チェック、地震発生時の対応についても図示。(学習指導要領の内容Cに関連)
- 254頁「これからの家庭生活と地域・社会」で、「これからの生活のしかたを考える」例として、防災のルールなどの設定を求める例を掲載。
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