開隆堂技術編集部です!
エネルギー変換の学習で取り上げられることの多い回路図。
「ちょっと細かいけど気になるところがある」「どのくらい指導したらいいんだろう?」 そんな疑問が出てくること、ありませんか?
今回は、お問い合わせをいただくことがあるポイントをふまえつつ、回路図のかき方の指導についていくつかヒントをご紹介します。
1.理科ではどんなことをやっている?
技術での回路図を掘り下げる前に、他教科(理科)での取り上げ方について少しご紹介します。
現行の学習指導要領では、中学校2年第1分野の「電流とその利用」で学習します。理科の教科書では、教科書によって違いはありますが、回路図の電気用図記号としては電源(直流)、スイッチ、電球、抵抗器あたりが出てきます。かき方についての記述は、導線を直線でかく、角は直角にするという程度です。電気についての理解に重点を置いていることがわかります。
理科で10ページ以上にわたって丁寧に解説する電気の基礎知識を、技術の教科書では「参考」としてあっさりまとめています。理科を先に学習して、技術で教科をまたがっておさらいできると生徒が理解しやすいと思います。
2.回路図のかき方について
回路図のかき方は技術分野でしっかり扱う必要があるということがわかったと思います。教科書で取り上げている電気用図記号や回路図のかき方は、「JIS C 0617」に基づいています。回路図は、知識がある人なら誰が見てもわかるようにする必要がありますが、ある程度柔軟性をもって作成できるようになっています。ここが迷う原因の一つかもしれません。ここでは、回路図のかき方について、お問い合わせをいただくような例をもとにいくつかご説明します。
●共通:図記号は、意味が変わらない範囲で回転、反転させても大丈夫です。また、複数の記号を組み合わせてできているものもあります。さらに、向きや位置は任意に決めてよいことが多いです。
●電源:電源は縦にかき、上がプラス、下がマイナスになるようにします。決まりではありませんが、「こうなっていることが多いから見やすいよ」というローカルルールに当たります。
●導線:十字の交点はつながっているのかわかりにくいためできるだけ避けます。十字の部分はたとえば、少しずらしてT字を2つにするという表し方をするといいでしょう。
●スイッチ:可動接点をプラス側にすることが多いですが、開隆堂の教科書では、可動接点が動くようになっていると他の部分に接触したときに危険になりやすいということから、逆にしています。長い可動接点を扱うことは少ないため、今後見直されていくかもしれません。
●発光ダイオードなどの矢印:2本の矢印は同じ長さで平行にして、垂直線上に揃うようにします。光源(発光するもの)の矢印は記号本体の向きに関係なく、特に指定がなければ図の右上に向けます。照射体(光を受けて動作するもの)は特に指定がなければ図の右下に向けます。矢印は図記号の近くにあればよく、位置は厳密に指定されません。光源の光を受けて動作するもの(照射体)がある場合、光源の矢印は照射体に向けて、照射体の矢印は光源に向けます。
3.どこまでできるように指導するといいの?
学習指導要領上では、「電気回路の要素について理解し、電気回路を設計するために回路図を使って表現し、それをもとに製作を行う」というのが大きな流れです。学校や先生の裁量によるところが大きいところですので、あくまでご参考としてご覧ください。いち担当の意見ですが、下記のようなことが大切になると考えています。
●構想を図に表すことが大事:図示することの目的は主に①考えたものを表現する、②他の人がつくれるように一般性をもたせる、の2つだと思います。回路図ではシミュレータを使うことも一般的になってきましたので、細かい図法の知識よりも、電気の基本をおさえた上で、考えたものを図として表すことを重視するとよいのではないでしょうか。
●図記号の厳密さは許容する:教科書で紹介している図記号は一部で、表せる範囲に限界があります。評価するラインとしては、途中で切れていたり抵抗がなく戻っていたりせず回路として成立しているか、選択した回路や部品で目的とした動作をしそうか、というあたりに重点を置いてみてはいかがでしょうか。実物には導線にも抵抗があり、部品にも個性(精度)があるため、あたりをつけて現物合わせという経験もできると現実的な理解も深まります。
さいごに
情報・技術科に向けて教科の内容も変化してきます。エネルギー変換のような生産技術も、情報を基盤とするようになり、考え方をバージョンアップしていく必要があります。そのような状況の中、「こういう問題を解決したい」と思って表現したり、正しい情報を判断したりする力はこれからより大事になってきます。既存の内容であっても、そのような生徒の力を伸ばしていけるように指導していけるといいですね。
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