エエネルギー変換、特に電気の分野の指導で、生徒へのアプローチに悩むことはありませんか? 生徒が小・中学校で学ぶ「理科」の電気のカリキュラムを見てみると、指導のヒントが見いだせるかもしれません。

理科の授業で実験する子どもたち

理科の学習内容

小学校から中学校にかけて、生徒たちは理科でどのようなことを学習していくのでしょうか。学習指導要領の内容から紐解きます。

【小学校3年生】

「電気の通り道」では、電流を流すには回路が閉じている必要があるという回路の基本や、電気を通す導体と通さない絶縁体があることをおもちゃ作りなどを通して学びます。

【小学校4年生】

「電流の働き」では、乾電池の数や直列つなぎ並列つなぎの違いで電流の強さやモータの動きが変わることを学びます。電流の働きを実感するために、モータやソーラーパネルを使ったものづくり活動が行われ、一気に技術分野の内容へ近づきます。

並列つなぎでプロペラを回す教材例
並列つなぎでプロペラを回す教材例
※写真:ケニス(株) 電気の流れる向き実験セット

【小学校5年生】

「電流がつくる磁力」では、導線を巻いた電磁石を作り、電流を流したときだけ磁石になる性質や、その強さを変える条件を実験します。技術分野の実習では電磁石の働きそのものを設計に組み込むことは少ないですが、電気の性質の理解につながります。物を動かすことを目的としたモータ、鉄を引き付けたり放したりして移動させることを目的としたクレーンなどのものづくりも行います。

【小学校6年生】

「電気の利用」では、手回し発電機やコンデンサを使い、電気をつくる(発電)、ためる(蓄電)、効率よく使う(制御)という、現代のテクノロジーに最も近い一連のシステムを学習します。また、光センサや人感センサを使い、簡易的なプログラミングによる「電気の効率的な利用」を体験します。

センサやコンデンサを用いた実験の教材例
センサやコンデンサを用いた実験の教材例
※写真:ケニス(株)電気の利用実験器(micro:bit対応)

【中学校2年生】

「電流とその利用」では、目に見えない電気の正体を「回路を流れる電流・電圧・抵抗」として捉え、数式を使って理論的に数値化します。具体的には、オームの法則(V = IR)を用いて電圧や電流の分配規則を計算したり、電流が光や熱に変わるときの「電力(W)=電圧×電流」や、消費した総エネルギー量(電力量)を計算したりします。実際に技術分野「エネルギー変換」の授業と時期的な重複が出てくるので、カリキュラム作成や授業中の声かけが重要になってきます。

【中学校3年生】

「科学技術と人間(エネルギー資源)」では、物体に働く「力」と「運動」の関係と、エネルギーがその姿を変えても総量は変わらないという自然界の根本原則を学びます。また、「自然環境の保全と科学技術の利用」では、私たちが日常生活で使っている電気エネルギーが、もともとどのような資源から、どのような仕組みで変換されて届いているのかを学びます。この部分は技術分野と共通の内容を理科の切り口で学習することになります。

小中学校理科で学ぶ「電気」の内容まとめ

小3 電気の通り道
・電気を通すつなぎ方
・電気を通す物
小4 電流の働き
・乾電池の数とつなぎ方
小5 電流がつくる磁力
・鉄心の磁化,極の変化
・電磁石の強さ
小6 電気の利用
・発電(光電池を含む),蓄電・電気の変換
・電気の利用
中2 電流
・回路と電流・電圧
・電流・電圧と抵抗
・電気とそのエネルギー(電気による発熱を含む)
・静電気と電流(電子,放射線を含む)
電流と磁界
・電流がつくる磁界
・磁界中の電流が受ける力
・電磁誘導と発電
中3 電流と磁界
・エネルギーとエネルギー資源(放射線を含む)
・様々な物質とその利用(プラスチックを含む)
・科学技術の発展
自然環境の保全と科学技術の利用
(小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編 p.22 図1より抜粋して作成)

まとめ

理科の学びは、高学年になるにつれて「体験」から「数式や法則(なぜそうなるか)」へと抽象化されていきます。一方で、中学校技術では、これらを「現実の制約(安全性、コスト、効率、材料の強度など)の中で、どうやって形にするか」というエンジニアリングの道具として使います。

生徒たちが「理科の計算は苦手だけど、ロボットを力強く動かすためにギヤの比率を計算するのは楽しい!」「オームの法則の意味が、回路を設計して初めてわかった!」となるような、理論(理科)を価値(技術)に変える楽しさを伝える上で、これらのカリキュラムのつながりが一つの武器になるのではないでしょうか。