こんにちは!家庭科編集部です。このコラムでは、家庭科の先生方の日常や授業に役立つ情報を発信しています。今回は、「カップヌードルミュージアム 横浜」の見学レポートを2回にわけてお届けします。

前編は、「インスタントラーメンの歴史」です。

だれもが知っているインスタントラーメン、その歴史を知っていますか?

壁一面にインスタントラーメンのパッケージが並ぶ展示エリア「インスタントラーメン ヒストリーキューブ」
【インスタントラーメン ヒストリーキューブ:「チキンラーメン」から始まったインスタントラーメンが、世界的な食文化に発展していく様子を、3,000点を超えるパッケージで表現している展示エリア】

いまや世界中にあふれるインスタントラーメン。その開発から現在にいたるまでどのようなストーリーがあったのか。

今回、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売した日清食品の「カップヌードルミュージアム 横浜」に、かてぽんが行ってきました!

一人の発想が世界的な食文化を生み出した

赤い座席が並ぶシアタールーム「百福シアター」
【百福シアター:安藤百福の人生を「MOMOFUKU TV」と題したCGアニメーションで展開しているシアタールーム】
壁沿いに安藤百福の足跡を紹介する展示が続く「安藤百福ヒストリー」
【安藤百福ヒストリー:安藤百福の足跡を当時の時代背景や親しみやすいイラストをまじえながら紹介している展示エリア】

インスタントラーメンの生みの親は、日清食品の創業者・安藤百福(あんどう ももふく[1910-2007])。大阪でさまざまな事業を手がけていた安藤は47歳のときに事業に失敗し全財産を失います。そこから何かしないと食べていけないと考えていたとき、戦後の闇市(終戦直後、正規ルート以外で食品や生活用品が売られていた非公式の市場)で一杯のラーメンを求めて長い行列をつくっていた人々の姿を思い出しました。

「もっと手軽にラーメンが食べられないものか」、そう思った安藤は、「お湯があれば家庭ですぐ食べられるラーメンを作ろう」と思い立ち、自宅の裏庭に小屋を建てて研究をはじめました。

展示室内に再現された木造の研究小屋「百福の研究小屋」
【百福の研究小屋:世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が誕生した当時の研究小屋を忠実に再現した展示】

麺作りについてまったくの素人だった安藤は、すべてが手探りで、寝る間も惜しみ研究に励みました。長期保存するにはどうやって麺を乾燥させればよいのか、また、お湯を注いですぐ食べられるようにするにはどうすればよいのか。この保存性と簡便性の実現こそが、インスタントラーメンの開発における最も高い壁でした。そんな日々が続いたある日、妻が天ぷらを揚げている様子をみてひらめきます。こうして生まれたのが、水分を含んだ麺を高温の油で一気に乾燥させる「瞬間油熱乾燥法」でした(詳細は「後編:インスタントラーメンに込められた技術を学ぶ」にて紹介します)。

この技術によって誕生した、お湯を注ぐだけで作ることができるラーメン「チキンラーメン」は大ヒット。またたく間に人気を集めました。

かてぽん

かてぽん:安藤さんの研究小屋には、はかりとか蒸し器とか、見たことあるものばっかりだったよ。
かてぽんも身近な道具から何かひらめいちゃうかも?

研究小屋の内部。棚にはかりやラジオが置かれ、作業台には鍋やざる、卵が並ぶ

さらに手軽なインスタントラーメン「カップヌードル」の誕生

「チキンラーメン」を世界へ広めようとアメリカ視察へ向かった安藤はそこで新たな商品をひらめきます。スーパーの担当者に「チキンラーメン」を試食してもらおうとしたものの、アメリカにはどんぶりと箸でラーメンを食べる習慣がありません。すると彼らは近くにあった紙コップに麺を割り入れお湯を注いでフォークで食べはじめたのです。このアメリカ視察での経験が、世界初のカップ麺「カップヌードル」の発明に至る大きなヒントになりました。

カップヌードルの断面と、めんのカタマリとカップの構造を解説するパネル
【安藤百福ヒストリー】

しかし、ここで新たな壁が立ちはだかります。「カップヌードル」を工場で大量生産しようとした際、上から麺を入れようとするとうまくカップに収まらないのです。手作業でセットしていては生産が追いつきません。何か方法がないかと考えていた安藤は、ある晩、めまいが生じて視界がぐるりと上下反転したような錯覚に陥りました。その時、「カップに麺を入れるのではなく、伏せて置いた麺にカップをかぶせて反転させればいい」という「逆転の発想」をひらめきました。この工夫によって工場での大量生産が可能となり、「カップヌードル」は現在も世界中で愛されるロングセラー商品となりました。

「めんをカップにまっすぐ入れるテクニック。」と題した「逆転の発想」の解説パネルと、かてぽん
【安藤百福ヒストリー】
かてぽん

かてぽん:「逆転の発想」を体験できる「マイカップヌードルファクトリー」に行ったよ!
麺にカップをかぶせてぐるぐる回すとピッタリ収まったんだ~
世界に1つだけの、かてぽんオリジナル「カップヌードル」をつくったよ~

オリジナルデザインのカップヌードルと、カップに絵をかくためのペン 麺にカップをかぶせるハンドルを回すかてぽん
【マイカップヌードルファクトリー:世界で1つだけのオリジナル「カップヌードル」を作ることができる工房】

安藤百福の発想・工夫を知る6つのキーワード

6つのキーワードを表す箱を線画で描いた「クリエイティブシンキング ボックス」の壁面 展示エリアに置かれた白い立方体のオブジェ
【クリエイティブシンキング ボックス:安藤百福の言葉や思考、行動の本質を6つのキーワードに集約し、現代アートの斬新なスタイルで表現した展示エリア】

あふれる好奇心と、創造的思考で日常のあらゆる出来事からアイデアを汲み取り、大きな発明に繋げた安藤百福。そのクリエイティブな発想から、発明・発見のヒントを学び取ることができます。

かてぽん

かてぽん:宇宙食ラーメンが宇宙に飛び立ったとき、安藤さんは何と95歳だったそう!
発明・発見に年齢は関係ないんだね。まさにNEVER GIVE UP!!

「世界で初めての宇宙食ラーメン誕生!」と書かれた展示パネルと宇宙食ラーメンの実物

おわりに

今やスーパー、コンビニなど様々なところで当たり前にインスタントラーメンを目にしますが、その起点には、安藤百福さんの『クリエイティブな発想』と『最後まであきらめない執念』がありました。

次回後編は、実際にやってみた「瞬間油熱乾燥法」の体験レポートをお届けします。

「カップヌードルミュージアム 横浜」
ADDRESS:〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港2-3-4
TEL:045-345-0918 (受付時間 10:00 〜 18:00 休館日を除く)
OPEN:10:00~18:00 (入館は17:00まで)
WEB:https://www.cupnoodles-museum.jp/

【小・中・高等学校の学校教育での利用について】
・来館希望日の1年前の同日10:00から予約可能。
・「マイカップヌードルファクトリー」「チキンラーメンファクトリー」の体験料無料。