こんにちは! 開隆堂家庭科編集部です。『授業のヒント』では、小学校・中学校・高等学校の家庭科の授業実践例をお届けします。
今回は、 小学校家庭科「デジタル教材を活用した製作」について、東京都北区立滝野川小学校の北原千咲先生の実践をご紹介します。
ICT活用を手立ての1つとした授業の実践
1人1台端末が導入された当初は、試行錯誤の連続でした。操作の不慣れなことから入力に時間がかかってしまうこともありましたが、当時の校内研究での「迷ったらデジタルを選んでみよう」という言葉を意識し、毎時間の授業に少しずつICTを取り入れることを私自身の目標としてきました。
端末が欠かせない存在となった今、活用の場面をあらためて見直す時期にきていると感じています。アナログとデジタルの両方を経験したからこそ、両者のバランスを大切にすることが、より効果的な活用につながると考えるようになりました。紹介する実践は、デジタルでなければできないことだけでなく、児童にとっての学びの選択肢の1つとしてICTを活用しています。
5年生「ソーイング はじめの一歩」 ~いつでも見返すことのできる見本動画~
初めての手縫いを扱う授業では、「玉結び」や「なみ縫い」などの見本動画を2種類用意しています。
1つ目は、基礎縫いの理解に適した教科書の動画を使用しています。ロイロノートにリンクを貼り、全体共有でも活用します。しかし、実際の練習布で基礎縫いに取り組む際、これだけではつまずいてしまう児童もいます。そこで2つ目として、児童と同じ練習布で実際に縫っている姿を撮影した動画を用意しています。いずれも作業の間はいつでも再生してよいことを伝えているため、児童は自分の習熟度や場面に合わせて動画を選択し、速度を変えたり繰り返し再生したりして理解を深めています。その間、教員は個別のサポートに集中できるようになりました。
ミシンを扱う「ミシンで楽しくソーイング」の学習でも、同じように2種類の動画を用意し、スムーズに製作できるような環境を整えています。
6年生「ソーイングで生活を豊かに」 ~実物とICTを組み合わせた完成イメージの具体化~
6年生の袋の製作では、第1時に身近な袋を観察します。自分の使っている袋を撮影し、「ポケットがあって便利」「上履きを入れるから縦長」などの特徴を入力して共有します。実物を片付けた後も一覧で振り返ることができ、「世界に1つだけの袋を作ろう」と意欲を高めるきっかけになっています。
製作計画で「ゆとり」の必要性を伝える場面では、私が製作した実物見本を活用しています。教科書の大きさにぴったりすぎて出し入れしにくい袋や、縫いしろ、ゆとりやまちをつけた袋などを用意し、児童に教科書を入れてもらうことで、「使いやすさ」に必要な条件に気づくことができます。もちろん、デジタルを活用して縫いしろやゆとりの必要性について理解させることもできますが、実物を見せるというアナログな方法が効果的な場面を見極めることで、双方の良さがより引き立つと考えています。
袋の製作計画で児童が最も難しいと感じるのは「完成イメージをもつこと」です。そこで、教科書のデジタル教材「カラフルうさぎのふくろ作りの旅」を活用し、理想の形を視覚化します。子どもたちは、出来上がったイラストのスクリーンショットに、画面上で色を塗ったりひもを追加したりしてアイデアを広げていきます。
中には、手書きでイメージを描きたい児童もいます。紙にえんぴつで描く児童もいれば、画面上に描く児童もいます。ICT活用は、めあてを達成するための手立ての1つとして捉えています。
アナログとデジタルのバランス
端末が「筆箱」のように身近になった今だからこそ、アナログの良さとのバランスを考えることが大切です。学習のめあてを達成するために、今後も児童自身が学習方法を選択できる環境を整え、個別最適な学びへとつなげていきたいと考えています。