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[解説] 実践総合的な学習の時間の指導法

[解説]実践 総合的な学習の時間の指導法

はじめに―本書の活用について(授業ガイダンス)

 ご案内の通り,教育職員免許法及び同法施行規則の改正(平成31年4月1日施行)に伴い, 教員免許状を取得させる大学においては新たな履修内容が示されました。
 今回の改正は,これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上をねらいとしています。もちろん,このねらいを達成するためには,各学校,教育委員会等の行政機関,大学等の養成機関が緊密に連携を図ることが前提です。特に,養成機関としての大学等の教育の在り方は注目されています。その中でも,教職課程の在り方は中核と言えます。このことに関して,教職課程の科目区分の大括り化,新たな教育課題等へ対応するための履修内容の充実,教職課程のコアカリキュラムの作成が盛り込まれました。新たな科目の履修も示され,その中に「総合的な学習の時間の指導法」があります。
 総合的な学習の時間は,小・中学校では平成10年12月,高等学校では平成11年3月の学習指導要領の改訂により,各学校の教育課程に位置付けられた指導内容です。今次の学習指導要領の改訂では,高等学校は「総合的な探究の時間」と名称は変わりましたが,これからの児童生徒の学びにとって重要な指導内容と言えます。しかしながら,教育課程の位置付けでは他の教科等と比較すると歴史的には浅い点もあります。
 本書はこのような状況を踏まえ,「総合的な学習の時間の指導法」についての入門書としての性格を強く押し出しています。したがって読者の対象も,教職を目指す学生,初任者教員な どの皆様を考えています。

本書の特長

 全体の構成は大学等での授業を想定して,7章立てとしています。この中で,総合的な学習の時間の意義と原理,指導計画の作成,指導と評価について学んでいただきたいと考えています。この学びから「総合的な学習の時間」をさらに深く探究する皆様が増えることを期待しています。
 第Ⅰ部の第1章から第5章までは,「総合的な学習の時間の指導法」についての理論とその解説を中心に書かれています。また,各章の構成は,事前学修,章のねらい,グループワーク,事後学修などと読者が主体的に学べるように考えました。
 第Ⅱ部の第6章は,第1章から第5章までの内容を踏まえた実践事例とその解説を掲載しています。第7章は,校種ごとの実践例を掲載し,校種間の連携,児童生徒の発達段階への対応について具体的に学ぶことをねらいとしています。
 第Ⅲ部の資料編は,第1章から第7章の理論,実践の根拠となる法令等,教職課程コアカリキュラムなどを掲載しています。

 参照,活用していただければと存じます。

「はじめに」の活用について

 紙面の関係で,この「はじめに」の部分は,「総合的な学習の時間の指導法」誕生の背景や総合的な学習(探究)の時間の特質などについてふれていきます。なぜ,教職課程の科目として生まれたか,今後,どのようなことが期待されているか,総合的な学習(探究)の時間がもつ固有の特質とは何か,ということです。
 大学等のテキストと活用していただく場合は,以下の内容を最初のガイダンスとしてご活用いただければ幸いです。

<「総合的な学習の時間の指導法」のガイダンスとして>

 「総合的な学習の時間の指導法」誕生の背景

 「教育は人なり」と言われるように,学校教育の充実には教員の資質・能力が大きくかかわっています。この資質・能力を高め,優秀な教員を確保するために大学等は養成,地方自治体等は選考,学校等では研修という形で関わってきています。また,教育に「不易流行」があり,変わらなく教えなければいけないもの,社会等の変化により変わっていく内容もあります。学習指導要領の改訂等は,そのために行われています。今次の教育職員免許法施行規則の改正では,「学校現場で必要とされる知識や技能を教員養成課程で獲得できるよう,教職課程の内容を充実」するという趣旨があります。学習指導要領の改訂等を踏まえ,アクティブ・ラーニングの視点に立った授業改善,ICTを用いた指導法の工夫,道徳教育・外国語教育・ 特別支援教育の充実,チーム学校への対応,学校と地域との連携,学校安全への対応,「総合的な学習の時間の指導法」の獲得,キャリア教育の充実など,現在の学校現場で必要とされる知識や資質を教員養成課程において履修できるよう,教職課程の項目を追加することが行われました。
 総合的な学習の時間は,平成11年度以降に実践されている教育内容でありますから,これまでの教員免許状取得には履修内容としてありませんでした。しかしながら,その指導法については,各学校では,教員に強く求めている資質・能力であります。この意味で,「総合的な学習の時間の指導法」が今回の改正で新たな科目として追加されたと考えられます。

東京女子体育大学・同短期大学教授 美谷島 正義

第I部 理論・解説編―第4章 指導の工夫(一部) 
p.24・25(見開掲載)
第II部 実践事例編 
p.60・61(見開掲載)

 

目次

はじめに―本書の活用について(授業ガイダンス)
目次

第Ⅰ部 理論・解説編

第1章 総合的な学習(探究)の時間の目指すもの(1時間目)
第2章 全体計画とカリキュラム・マネジメント(2時間目)
第3章 単元の指導計画(3時間目)
第4章 指導の工夫(4時間目)
第5章 評価の在り方(5時間目)

第Ⅱ部 実践事例編

(指導計画作成に向けて6・7時間目)
第6章 実践事例とその解説
 小学校:現代的な諸課題(情報)
 中学校:職業や自己の将来に関する課題
 高等学校:地球や学校の特色に応じた課題

第7章 実践事例
 小学校:多摩川 東京都狛江市立狛江第六小学校
 中学校:―「樂校」学校が楽しいと感じる生徒の育成― 東京都世田谷区立尾山台中学校
 高等学校:佐伯のチカラ巻き起こす「虹の時間・「未来」の時間の授業デザイン 大分県立佐伯豊南高等学校

Ⅲ部 資料編

総合的な学習の時間・創設とこれまでの経緯
資料① 「平成8年中央教育審議会 第一次答申(関係部分の抜粋)」
資料② 「平成10年教育課程審議会 答申(関係部分の抜粋)」
資料③ 「小学校学習指導要領総則 第3総合的な学習の時間の取扱い(平成10年12月告示)」
資料④ -1 「小学校学習指導要領(平成29年3月告示)」(第1章総則、第5章)
資料④ -2 「中学校学習指導要領(平成29年3月告示)」(第4章)
資料④ -3 「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」(第1章総則、第4章)
資料⑤ 「教職課程コアカリキュラム対応表ー総合的な学習の時間の指導法」
資料⑥ 「関係法令」―日本国憲法 11・14・26条/教育基本法/学校教育法(関係部分の抜粋)
資料⑦ -1 「学校教育法施行規則」(関係部分の抜粋)
資料⑦ -2 「学校教育法施行規則 別表第一・第二」
資料⑧ 「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(平成31 年3 月29 日)
資料⑨ 「各教科等の評価の観点等及びその趣旨」(資料⑧の通知における別紙からの抜粋)
資料⑩ 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(関係部分の抜粋)

仕様

判型 B5
ページ数 104(1色・4色カバー付き)
代表著者 美谷島正義(東京女子体育大学・同短期大学教授)
和田孝(帝京大学教育学部長・教授)
価格 本体1,200円(税抜)
定価1,320円(税込)
ISBN 9784304042393