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小中連携Q&Aと実践 小学校外国語活動と中学校英語をつなぐ40のヒント

 

 小学校の成果を生かして中学校英語教育はどうあるべきか。小・中学校の先生の取り組みだけではなく、管理職の学校経営、教育委員会の取り組みなど、具体的でわかりやすく解説しています。40のQ&Aとそれをふまえた中学校入門期の指導案とモデル授業案も満載しています。

小学校外国語活動から中学校英語につなぐヒントを示しました

 これまで永らく、日本の子どもたちが初めて英語に触れるのは中学校においてでした。しかし平成23年度より小学校5・6年生で外国語活動が必修化され、入門期を含めて、今までの中学校の役割の一部が小学校の先生たちに手渡されることになったのです。中学校英語の先生は、小学校で培われる動機付けや英語への慣れなどとの連続性を意識しながらも、小学校とはひと味違った、中学生にふさわしい一つ上のステージを目指すためにどうしたらよいかが問われています。つまり、このような時代の大きな変革にあって、中学校英語は、これまで積み重ねてきた土台に新たな要素を加味して、その役割を再確認・再定義することを迫られているのです。

 その意味で、これから中学校の英語の先生たちに求められることは、以下の三つです。

 1)小学校外国語活動の趣旨や性格を理解すること
 2)新しい隣人を尊重すること
 3)これからの中学校英語の授業を変える視点を持つこと

小中連携Q&Aと実践P18 小中連携Q&Aと実践P19

 第1に、小学校で外国語を経験した子どもたちはどのような趣旨で英語にふれ、何を身につけてくるのでしょうか?小学校外国語活動は、国語、算数、社会などの教科の扱いではないことに加えて、児童期という異なる発達段階を対象とすることから、中学校英語の常識から眺めると、大きく異なる部分が出てきます。しかしそうした異なる授業観、指導方法などには、小学生のための外国語教育だからこそ必要な配慮が込められています。初めて小学校外国語活動にふれて、中学校の先生はさまざまな感想を抱かれると思います。しかし、ぜひその時に、中学校英語の立場や視点からだけで小学校外国語活動のあり方を判断しないで頂きたいと思います。本書を通じて、まずは小学校外国語活動の基本を理解して、中学校英語とは異なる部分に込められた、小学校教育ならではの意味を感じて頂きたいと思います。

 第2に、中学校の英語の先生は、言うまでもなく英語教育のプロでありますが、小学校の先生たちが英語教育のプロではなく素人であると一面的に考えることは、小学校の先生たちのよい部分を見過ごすことになります。小学校の先生は、一つの教科を専門に教える中学校の先生とは違って、国語も算数も社会も教え、また給食時間や休み時間も含め、同じ子どもたちと一日中顔をつきあわせて育てる「子どもの教育のプロ」です。そのことが外国語活動の教育観や指導方法にも反映されていることに気づいて頂きたいと思います。ぜひ、本書を通じて、小学校の先生たちという新しい隣人のよいところを見つけ「尊重」し、小学校の先生たちとの生産的な関係を模索してほしいと思います。

 第3に、中学校英語の先生に求められることは、小学校外国語活動の導入を受けて、これからの中学校英語の授業に新しく加味すべきものについての視点を持つということです。小学校外国語活動を経験してきた子どもたちの素地を生かして、中学校で教えるべきこととは何なのでしょうか。本書はでは、全国から先進的に小学校外国語活動との連携を意識して実践してきた先生たちの経験則や知見を多く盛り込みました。小学校外国語活動ではカバーできない文法指導、読み書き、中学生にふさわしい会話力や自己表現への指導など、ぜひ本書を通じてこれからの中学校英語の授業のあり方についてのヒントを見つけ、中学校英語の役割の再確認・再定義のための視点をつかんでいただきたいと思います。

 本書は、主に中学校の英語の先生たちに向けて書かれたものですが、管理職の方々の学校経営、教育委員会の方々の行政的取り組みにも参考になる部分があります。また、小学校の先生にとっても、本書を通じて、小学校外国語活動の趣旨を再確認したり、中学校の英語の先生たちとの連携をする上でのヒントを得ることができます。

 本書の構成は、第一部の「Q&A編」(40項目)と第二部の「実践編」(9事例)としました。「Q&A編」は、小学校外国語活動およびこれからの中学校英語について中学校の先生たちが抱くであろう疑問・トピックを取り上げました。また「実践編」の9事例は、実際に小中連携に取り組んできた小中学校の先生たちに、具体的な授業コンセプトや指導方法、連携の実際について語っていただきました。なお各項目・事例に、本書の他の箇所で参照すべき部分を示すクロス・リファレンスを入れ、項目・事例間のつながりがわかるようにしました。巻末に小学校学習指導要領の外国語活動編も添付しました。なお平成23年度中に『英語ノート』に代わる新呼称の教材が配布される予定ですが、本書では『英語ノート』の呼称を使うことをご理解下さい。

 最後に、本書を、日々英語を教え生徒たちと汗を流している中学校の英語の先生たちに、そして子どものための英語を通じた新しい教育実践に取り組む小学校の先生たちに、捧げたいと思います。そして、それら小中の先生方が、小学校外国語活動と中学校英語という異文化とも言うべき二つの世界に新しい「橋」を架けるというこれからの取り組みに、本書が少しでも役立つことができればと念じています。誰よりも、その橋を渡るこれからの子どもたちのために。

平成23年9月

萬谷隆一、直山木綿子、卯城祐司、石塚博規、中村香恵子、中村典生

(あとがきより抜粋)

 

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