1.貧困ひんこんをなくそう

世界には,日本円で約210円に満たないお金で1日をらさなくてはならない,「絶対的貧困」におかれている人たちがたくさんいます。また,日本でも7人に1人の子どもが,経済的にきびしい状況じょうきょうにさらされています。お金がないことだけでなく,食料や安全な水,病院や住まい,教育や仕事など,生きていくために必要なサービスを受けることができないことも貧困にふくまれます。だれもが人間らしく生きられる社会をつくるためには,貧困を終わらせることが不可欠です。

2.飢餓きがをゼロに

世界には,栄養不足が原因で命を落とす子どもたちがたくさんいます。特に開発じょう国の中には,農業の技術が未発達なため,十分な量の作物をしゅうかくできずに,人々が生きるために必要な栄養をとることができない状況が続いている国もあります。世界各国が食べ物を送るえんを行っていますが,自分たちで乗りこえていけるよう,農業の技術を伝える支援も行われています。かんきょうやそこにすむ生き物たちにも気を配り,作物を長く育てていくことができる持続可能な農業に取り組んでいます。

3.すべての人に健康とふく

世界には,貧しさなどから十分なりょうを受けられないために,5さい未満でくなる子どもがたくさんいます。薬やワクチンが入手できれば予防できる病気で,命を落としているのです。また,医療の体制が整っていないために,おなかに赤ちゃんがいるおかあさんが,妊娠にんしん中や出産のときに亡くなることもめずらしくありません。
どんな人も健康で安心してらせるよう,病気の予防や治療の体制を整えていくことを目指しています。

4.質の高い教育をみんなに

世界には,家が貧しいために子どものうちから働いていたり,国内外での争いに巻きこまれたりして,学校へ通えない子どもがたくさんいます。読み書きや計算ができないままおとなになると,安定した収入を得られる仕事につけないばかりか,注意書きが読めずにけんな目にあったり,書類上の手続きでだまされたりすることもあります。生まれた場所や家庭の状況じょうきょうにかかわらず,だれでも無料で平等に質の高い教育を受けられるようにすることを目指しています。

5.ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダーとは,「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」のような,社会や文化の中でつくられる性別についての考え方のことです。
世界では,女性だからという理由で教育を受けられない人がたくさんいます。十代前半の女の子が,結婚けっこん妊娠にんしん・出産を強制されることもめずらしくありません。
日本では,国会議員における女性の割合わりあいが少なすぎることが問題になっています。性別にかかわらず,教育や政治参加への機会を平等にしていく必要があります。

6.安全な水とトイレを世界中に

世界の水道のないいきでは,毎日何時間もかけて湖や川まで水をくみにいくことがあります。しかし,こうしてくんできた水が衛生的で安全だというしょうはありません。
トイレの設備がなく,海岸や川などで排泄はいせつをしている地域があります。上下水道の設備がないと衛生的なしょができず,不衛生な状態のまま飲み水として利用するしかありません。よごれた水を飲んだ子どもが,コレラなどの病気にかかって命を落とすことを防ぐため,下水処理などの衛生かんきょうを整えていく必要があります。

7.エネルギーをみんなに。
そしてクリーンに

世界では,今も多くの人々が貧しさのために電気を利用できず,不便ならしを強いられています。すべての人々が,電気やガスなどのエネルギーを安定して使えるようにする必要があります。
これまで私たちが最もたよっていた石炭,石油,天然ガスなどの化石燃料による発電は,大量の二酸化炭素を発生させ,地球温暖おんだんを加速してきました。今後は,水力や風力,太陽光など,自然の力をもとにした再生可能エネルギーの使用を増やしていくことが重要です。

8.働きがいも経済けいざい成長も

世界では,きびしいかんきょうで長時間働いても十分な収入しゅうにゅうを得られない人や,貧しさのために学校に通わずに働いている5~17さいの子どもが大勢います。
こうした問題を解決するために,働く人のけんがしっかりと守られ,働きがいのある仕事で十分な収入が得られるようなしくみづくりが求められています。また,やりがいのある仕事で収入を得た人が,お金を使うことも経済活動の一つです。環境を守りつつ,経済を成長させていくようなお金の使いみちを考える必要があります。

9.産業と技術革新かくしんばんをつくろう

生活や産業の基盤となる,電気,水道,ガス,道路,鉄道,電話,インターネット,学校,病院などの設備やサービスをインフラといいます。日本のように自然災害が起こりやすい国では,災害時になるべく早く復旧できるインフラづくりが重要です。
世界には,まだこのインフラが整っていない国がたくさんあります。すべての人がインフラを使える環境を整えたうえで,これまでにない技術の開発(技術革新)を進めることが求められています。

10.人や国の不平等をなくそう

国と国の間においてはもちろん,同じ国内の人どうしでも貧富の差は確実に広がっています。このような不平等をなくすため,所得が一定の基準より少ない人の収入を増やすなど,対策たいさくが求められています。また,性別や年れい,しょうがいがあること,人種や民族,宗教しゅうきょうのちがいなどから生まれる差別や不平等をなくす必要があります。
さらに,先進国とじょう国の間の不平等をなくすため,貿易についてのきまりを強化したり,途上国がそのようなルールや計画の作成に加わることができるようにすることなども求められています。

11.住み続けられるまちづくりを

世界の多くの都市には,貧しい人々が集まってらすスラム(貧民街)があり,犯罪が起こりやすいいきになっています。すべての人がインフラを使うことができ,安全な家に住めるようなまちづくりを行うことで,スラムの状況じょうきょう改善かいぜんしていく必要があります。
また,女性や子ども,しょうがいのある人,高れい者などが安心して利用でき,さらにかんきょうにもたんをかけない交通機関を導入すること,公園などの公共スペースを整えることなども求められています。 

12.つくる責任、つかう責任

これまでにくり返されてきた大量生産・大量消費によって,私たちは地球のげんを使い過ぎてしまいました。この反省を生かし,資源は限りのあるものと考え,食べきれない分まで買わないように気をつけなくてはなりません。また,なるべくごみを減らして再利用したり,資源として再び使えるようにしたりする必要があります。
ものを買うときに,かんきょうにやさしい持続可能な方法でつくられているかどうか,よく考えて検討けんとうすることも重要です。

13.気候変動に具体的な対策を

気候変動によって,干ばつや大洪水こうずい,大型台風の発生など,世界中でさまざまな自然災害が増え,人々のらしをおびやかしています。この気候変動の原因といわれているのが,二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスが地球の周りをおおうことで起こる,地球温暖おんだん化です。地球温暖化は気候変動だけでなく,生態けいへもえいきょうをあたえています。
地球温暖化を食い止めるには,世界中のすべての国で二酸化炭素のはいしゅつ量を減らす必要があります。

14.海の豊かさを守ろう

世界中で大量につくられているプラスチック製品が,使用後にごみとなり,海へ流れついています。プラスチックという素材は,長年かけて小さなかけらとなっても,土にかえることはありません。かけらを飲みこんだ海鳥やイルカ,ウミガメなどの海の生き物の命が,毎年数多く失われています。
また,世界の海でとられ過ぎているために,絶滅ぜつめつ危機ききに直面している魚もいます。生まれてくる量よりも多くとり過ぎないよう,漁業を規制する必要があります。

15.陸の豊かさも守ろう

世界の陸地のうち,森林におおわれている土地の割合わりあいは,年々少なくなっています。畑や牧場をつくったり,多くの人々が住むまちをつくったりするために,森がどんどん切り開かれているのです。森林が減るとばく化が進み,気候変動が起こります。それによって生態けいにえいきょうが出て,絶滅ぜつめつ危機ききに直面する動植物が増えてしまいます。
そのような動植物を保護しつつ,さまざまな生物がきょうぞんできるよう,自然を再生させていく活動に取り組んでいくことが求められています。

16.平和と公正をすべての人に

世界中の国々が平和な社会を築くためには,あらゆる暴力をなくす必要があります。また,すべての人々が法に基づいて,問題を公正に解決できるような制度を整えることも重要です。
政治においては,不正な金銭のやり取りや武器などの取り引き,政治家によるしょくをなくし,子どもや若者わかものの意見を積極的に反映はんえいして広く情報を公開できるような,明るく開かれた政府を目指すことが求められています。

17.パートナーシップで目標を達成しよう

これまでの16の目標を達成するには,世界中の国々が協力し合って具体的な実現方法を打ち出し,実際に取り組んでいく必要があります。
そのために,すべての国が目標達成に向けての予算を確保するだけでなく,先進国はじょう国へ資金や技術を支援するなど,国どうしで格差が生まれないふうもしなくてはなりません。
おとなも子どもも,世界中のだれもがさまざまな問題を自分ごととしてとらえ,できることから実行していく姿せいが求められています。

【解説文】高橋みか

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